【税理士監修】確定申告の用紙はコンビニで印刷OK!ファミマ・ローソンでの入手方法と注意点
お役立ち情報「プリンターがない」「税務署は遠くて混んでいる」「夜間や休日に用紙だけ準備したい」——確定申告の時期が近づくと、毎年こうした悩みを抱えていませんか。その課題に対し、現場の声に応える形で2025年10月から新たな選択肢が加わりました。税理士の佐治英樹が、国税庁の公式発表に基づき、この新しい制度の正しい使い方を解説します。
この記事を読めば、以下の4点が明確になります。
- この制度が解決する4つの具体的な悩み
- ファミリーマート、ローソン等での具体的な印刷手順(必須のユーザー番号も解説)
- 利用する上で本当に注意すべき3つの点
- 手書き申告のリスクと、次のステップ
目次
はじめに:確定申告の「用紙問題」に終止符
2025年10月1日より、国税庁は申告書や届出書の「様式」(ご自身で記入するための、空欄の用紙)を、全国のコンビニで印刷できるサービスを正式に開始しました。 これは、以下のような長年の悩みを解決するものです。
- プリンターがない、壊れた、インクが切れた…
- 税務署が遠い、あるいは窓口が混雑していて時間がかかる…
- 仕事が終わった深夜や、休日に準備を進めたい…
- 法改正に対応した、最新版の正しい様式を確実に手に入れたい…
このサービスが利用できるのは、シャープの「ネットワークプリントサービス」に対応したマルチコピー機が設置されているファミリーマート、ミニストップ、ローソン、ポプラグループなどです(2025年10月時点、50音順)。 ※セブン-イレブンは対象外ですのでご注意ください。
この章では、このサービスが多くの現場の悩みに応えるものだと理解しました。次章では、具体的な使い方を「必須のユーザー番号」を含めて詳しく見ていきましょう。
【STEP1】コンビニで「最新様式」を印刷する手順
このサービスは、自分で作成したPDFをアップロードするのではなく、コンビニのマルチコピー機に予め用意された公式コンテンツを印刷する仕組みです。操作には共通のユーザー番号が必要になります。
1. 店頭のマルチコピー機で最初のメニューを選択する【重要】
店舗に着いたら、マルチコピー機のタッチパネルを操作します。ここで注意したいのが、コンビニチェーンによって最初のメニュー画面が違うという点です。
| コンビニエンスストア | 最初に選択するメニュー |
|---|---|
| ファミリーマート | 「コピー/プリント」を選んだ後、「ネットワークプリント」を選択 |
| ミニストップ、ローソン | 「ネットワークプリント」を直接選択 |
この最初の操作が、最も間違いやすいポイントです。ご利用になる店舗のメニューを覚えておきましょう。
2. ユーザー番号「1234567890」を入力する【最重要ポイント】
次にユーザー番号の入力画面が表示されます。ここで、「1234567890」と入力してください。これは国税庁の書類を呼び出すための共通番号で、この手順が最大のポイントです。
3. 「国税庁」フォルダから必要な様式を選ぶ
番号が認証されると、文書一覧が表示されます。その中から「国税庁」のフォルダを探し、印刷したい申告書の種類(例:「所得税の確定申告書」など)を選択します。
このとき、ファイル名の先頭に「★」マークが付いていないものを選んでください。申告書は白黒で十分であり、★マークはカラー印刷用のファイルです。
4. 印刷設定と料金の投入
次に印刷設定画面が表示されます。
- 印刷タイプで「白黒」が選択されていることを確認します。
- 画面に表示された印刷料金を確認します。(例:A4 1枚 20円)
- マルチコピー機の料金投入口に、表示された金額のお金を入れます。
5. 最終確認と印刷開始
最後に内容を確認する画面が表示されます。ファイル名や枚数に間違いがなければ「スタート」または「はい」を押すと、印刷が始まります。これで、最新版の正しい様式が手に入ります。
コンビニ毎の操作の違いを含め、具体的な手順が分かりました。次に、利用にかかるコストについて、改めて正確に把握しておきましょう。
【STEP2】料金はいくら?A4モノクロ1枚20円が目安
このサービスの利用料金は、コンビニのプリントサービスの料金体系に準じます。 申告書の様式はモノクロで十分です。
料金の目安は以下の通りです。
- 白黒(モノクロ): A4サイズ 1枚 20円程度
- カラー: A4サイズ 1枚 60円程度
例えば、確定申告書と第一表・第二表、そして控えを合わせて合計5枚印刷する場合、20円 × 5枚 = 100円 と、非常に安価に済ませることができます。
手順と料金が明確になりました。このサービス自体に個人情報漏洩のリスクはありません。しかし、だからこそ見落としがちな、本当に注意すべき点が存在します。次章でそれを解説します。
【最重要】税理士が指摘する、本当に注意すべき落とし穴トップ3
このサービスは非常に安全で便利ですが、その「手軽さ」ゆえに陥りがちな落とし穴があります。申告手続き全体を見据えた、本当に注意すべき3つのポイントを解説します。
1. 落とし穴1:「どの様式を使えばいいか」を間違えるリスク
コンビニで手軽に印刷できるのは、あくまで「様式」そのものです。ご自身の所得の種類(事業、不動産、譲渡など)や申告内容によって、使うべき様式や添付すべき書類は異なります。よくわからないまま、とりあえず基本の申告書だけを印刷してしまうと、後で必要な書類が足りないことに気づく可能性があります。
対策: 印刷する前に、必ず国税庁のウェブサイトなどで「自分の場合にどの様式が必要か」を正確に確認しておきましょう。
2. 落とし穴2:手書きによる計算ミスや記入漏れのリスク
様式が手に入っても、そこから先は全て手作業です。膨大な数字の転記や計算を手で行うため、どうしてもヒューマンエラー(計算ミス、転記ミス、記入漏れ)が発生しやすくなります。この手書きのプロセスこそが、確定申告における最大のリスクと言っても過言ではありません。
対策: 記入後は、提出前にもう一度、できれば第三者にもチェックしてもらうなど、入念な確認を心がけてください。
3. 落とし穴3:意外と待つかも?コンビニの「印刷待ち」
確定申告の期限が近づくと、同じ目的で利用する人が増えるかもしれません。また、他のプリントサービスやコピーを利用する人とタイミングが重なり、マルチコピー機の前で待つことになる、という「コンビニあるある」な状況も考えられます。
対策: 用紙の準備は、2月上旬までには済ませておくなど、余裕を持ったスケジュールで進めるのが鉄則です。
このサービスは様式入手の手段であり、申告作業そのもののリスクは残ることが分かりました。では、そのリスクを根本的に解決するにはどうすればよいのでしょうか。次章で解説します。
【次のステップへ】手書き申告のリスクをどう乗り越えるか
コンビニで最新様式が手軽に入手できるようになったのは大きな進歩です。しかし、それは申告全体のスタートラインに立ったに過ぎません。手書き申告に伴う計算ミスや記入漏れといった本質的なリスクを回避するためには、次のステップを検討することが不可欠です。
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」の活用
様式に直接手書きするのではなく、国税庁のウェブサイトにある「確定申告書等作成コーナー」を利用しましょう。 画面の案内に従って数字を入力するだけで、面倒な計算は全て自動で行ってくれます。完成したPDFを印刷して提出すれば、計算ミスのリスクを劇的に減らすことができます。 (※この作成済みPDFの印刷は、従来からの「ネットワークプリント」を利用します。 こちらはセブン-イレブンでも利用可能です)
最終ゴールとしてのe-Tax(電子申告)
そして、最も推奨されるのが、印刷すら不要になるe-Tax(電子申告)です。作成コーナーから直接データを送信すれば、申告が完了します。青色申告で最大65万円の特別控除を受けたい方はe-Taxが必須条件です。次回の申告(2026年分)からは、ぜひe-Taxへの挑戦を検討してみてください。
コンビニでの様式入手は第一歩であり、より安全な「作成コーナーの利用」や、最終的なゴールである「e-Tax」を目指すべきだと分かりました。最後にこの記事の要点をまとめます。
まとめ
2025年10月から始まったコンビニでの申告書様式印刷は、紙で申告する方にとって、用紙入手の新たな選択肢です。
- 印刷できるのは、手書き記入用の「空欄の申告書様式」
- ファミマ・ローソン等で、ユーザー番号「1234567890」を入力して利用
- 注意点は「様式の選択ミス」と、その後の「手書きによるヒューマンエラー」
このサービスを賢く活用しつつ、それに伴うリスクも正しく認識し、より安全で効率的な「確定申告書等作成コーナー」の利用や、e-Taxへのステップアップを目指していきましょう。
2025年10月から確定申告の用紙がファミリーマート、ローソン等で印刷可能に(※セブン-イレブン対象外)。税務署に行かずとも最新の手書き用様式が1枚20円程度で手に入ります。税理士が、必須のユーザー番号や「様式の選択ミス」「手書きの計算ミス」といった注意点を解説します。
よくある質問
どのコンビニで利用できますか?
A. 2025年10月時点では、シャープの「ネットワークプリントサービス」に対応したマルチコピー機が設置されている、ファミリーマート、ポプラグループ、ミニストップ、ローソン(50音順)で利用できます。 セブン-イレブンは対象外ですので、ご注意ください。
ユーザー番号「1234567890」は毎回同じですか?
A. はい。この番号は、国税庁の各種様式を呼び出すための共通番号ですので、サービスが続く限り同じ番号を使用すると考えられます。
このサービスを使えば、確定申告が完了するのですか?
A. いいえ、完了しません。このサービスは、あくまで手書き用の「用紙」を入手するまでのものです。その後、ご自身で数字を記入し、計算し、完成させた申告書を税務署に提出する必要があります。
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